過炭酸ナトリウムとは?
油汚れ・泥汚れへの働きやつけ置き、衣類への使用について解説
はじめに
衣類の漂白やつけ置き洗い、キッチン・水回りの掃除など、さまざまな用途の洗浄製品に使用されている「過炭酸ナトリウム」。
一般には粉末タイプの酸素系漂白剤の主成分として知られています。
•塩素系漂白剤との違いが分からない
•どうして油汚れを落とせるのか?
•衣類を傷めることはない?など、使用するうえで疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、過炭酸ナトリウムの基本的な特徴から、油汚れ・泥汚れに対する働き、界面活性剤と組み合わせる理由、消臭やつけ置き、衣類への影響、排水口への使用まで詳しく解説します。
1. 過炭酸ナトリウムとは
過炭酸ナトリウムは、「炭酸ナトリウムと過酸化水素から構成される化合物」です。
水に溶けると、主に炭酸ナトリウムと過酸化水素に分かれます。過酸化水素による酸化作用と、炭酸ナトリウムによるアルカリ性の作用を利用できることから、衣類用漂白剤や洗浄剤などに使用されています。
過炭酸ナトリウムは「非塩素系」
過炭酸ナトリウムを理解するうえで重要なのが、塩素系ではなく、酸素系(非塩素系)の漂白成分であるという点です。
一般的な塩素系漂白剤では、次亜塩素酸ナトリウムなどが主成分として使用されています。
一方、粉末タイプの酸素系漂白剤では過炭酸ナトリウムが主成分として使用されることがあります。
| 比較項目 | 過炭酸ナトリウム | 次亜塩素酸ナトリウム |
|---|---|---|
| 分類 | 酸素系(非塩素系) | 塩素系 |
| 主な用途 | 漂白・洗浄など | 漂白・洗浄など |
| 一般的な製品形状 | 粉末 | 液体 |
| 色柄物 | 使用できる製品がある | 基本的に使用不可 |
| 毛・絹 | 粉末酸素系漂白剤は基本的に不向き | 基本的に不向き |
ただし、「非塩素系=どのような素材にも使用できる」という意味ではありません。
製品の成分構成や濃度、使用方法によって使用できる対象は異なるため、実際に使用する際は必ず製品表示や衣類の洗濯表示を確認してください。
2. 過炭酸ナトリウムは、なぜ油汚れを落としやすいのか
過炭酸ナトリウムが油汚れの洗浄に利用される理由には、主にアルカリ性による作用と酸化作用が関係しています。
水に溶けるとアルカリ性を示す
過炭酸ナトリウムは水に溶けると炭酸ナトリウムと過酸化水素に分かれます。
炭酸ナトリウムによって洗浄液がアルカリ性になることで、酸性の性質を持つ油脂汚れの一部を落としやすい状態にします。
そのため、皮脂などを含む油性汚れの洗浄に利用されています。
酸化作用によって汚れに働きかける
もう一つが、過酸化水素による酸化作用です。
過炭酸ナトリウムから生じる過酸化水素が、汚れに含まれる色素などに作用します。この性質が、衣類のシミや黄ばみなどを漂白する際に利用されています。
つまり過炭酸ナトリウムは、
•アルカリ性によって油脂汚れを落としやすくする
•酸化作用によって汚れの色素などに働きかける
といった複数の作用を利用した洗浄成分です。
ただし、すべての油汚れを過炭酸ナトリウムだけで完全に分解・除去できるわけではありません。油の種類や付着量、経過時間などによって洗浄結果は異なります。
![]() |
![]() 【Amazon】グリストが取れる |
3. 過炭酸ナトリウム+界面活性剤が衣類・タオルなどの油汚れ・泥汚れに使われる理由
過炭酸ナトリウムを配合した洗浄剤の中には、界面活性剤を組み合わせた製品があります。
なぜ、この2つを組み合わせるのでしょうか。
界面活性剤とは?
界面活性剤は、水と油のように本来混ざりにくいものの境界面に作用する成分です。
洗剤では、衣類などに付着した油性汚れを水中に取り込み、洗い流しやすくする目的などで使用されています。
過炭酸ナトリウムと界面活性剤では役割が異なる
過炭酸ナトリウムと界面活性剤は、それぞれ異なる方法で汚れに働きかけます。
| 成分 | 主な働き |
|---|---|
| 過炭酸ナトリウム | アルカリ性や酸化作用を利用して汚れに働きかける |
| 界面活性剤 | 油性汚れなどを衣類から引き離し、水中へ取り込みやすくする |
過炭酸ナトリウムアルカリ性や酸化作用を利用して汚れに働きかける
界面活性剤油性汚れなどを衣類から引き離し、水中へ取り込みやすくする
このように異なる働きを持つ成分を組み合わせることで、皮脂や食用油などを含む複合的な汚れに対応しやすくなります。
泥汚れにも使用される理由
泥汚れは、土や砂などの細かな粒子が繊維の間に入り込んだ汚れです。
そのため、泥そのものを過炭酸ナトリウムがすべて「分解する」というよりも、泥と一緒に付着している皮脂などの有機汚れに働きかけたり、洗浄成分によって汚れを繊維から取り除きやすくしたりすると考えるほうが適切です。
特に靴下や作業着などの汚れは、泥だけでなく皮脂など複数の汚れが混ざっていることがあります。
過炭酸ナトリウムだけでなく界面活性剤などを組み合わせた洗浄剤が使用されるのは、こうした複合汚れに対応するためです。
4. 頑固な油汚れ・泥汚れは、長時間つけ置きすれば落とせるのか
頑固な汚れに対して「長くつけておけば、それだけ汚れが落ちるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、長時間つけ置きすればするほど洗浄力が高くなるわけではありません。
つけ置きで汚れに働きかける時間を確保する
通常の洗濯だけでは落としにくい汚れの場合、一定時間つけ置きすることで洗浄成分が汚れに作用する時間を確保できます。
特に繊維の奥まで入り込んだ皮脂などを含む汚れでは、製品で指定された範囲内でつけ置きを行う方法があります。
長時間のつけ置きには注意
必要以上に長くつけ置きすると、
•色落ち・変色
•繊維への負担
•金属部品への影響
などにつながる可能性があります。
また、過炭酸ナトリウムから生じる過酸化水素は時間とともに分解していくため、つけ置き時間を延ばし続ければ、その分だけ洗浄効果が高まり続けるわけではありません。
つけ置き時間や使用量については、使用する製品の表示に従うことが基本です。
![]() |
![]() |
5. 過炭酸ナトリウムに消臭効果はあるのか
過炭酸ナトリウムは、衣類やタオルなどに残ったニオイへの対策を目的とした酸素系漂白剤にも使用されています。ただし、「ニオイを香りで隠す」という消臭方法とは仕組みが異なります。
ニオイの原因となる汚れを洗浄する
タオルや衣類に残るニオイには、皮脂や汗などの汚れが関係している場合があります。
過炭酸ナトリウムを使用した洗浄では、アルカリ性や酸化作用によってこうした汚れに働きかけることで、ニオイの原因となる汚れを取り除くことにつながります。
そのため、市販されている過炭酸ナトリウム配合の酸素系漂白剤には、衣類や排水口などの「消臭」「除臭」を用途として表示している製品があります。
ただし、ニオイの原因は一つではありません。素材そのものにニオイが染み込んでいる場合や、汚れ以外に原因がある場合など、過炭酸ナトリウムを使用しても十分にニオイを取り除けないことがあります。
6. 過炭酸ナトリウムは衣類・タオルなどの生地を傷めてしまうのか
過炭酸ナトリウムを使用した粉末酸素系漂白剤は、塩素系漂白剤とは性質が異なり、使用できる色柄物もあります。
しかし、すべての衣類に使用できるわけでなく、白地に使用させるケースが多いです。
綿・麻・化学繊維などに使用できる製品が多い
市販されている過炭酸ナトリウム配合の衣料用酸素系漂白剤では、水洗いできる綿・麻・化学繊維などを使用対象としている製品があります。
一方で、粉末タイプの酸素系漂白剤は水に溶かすと弱アルカリ性になる製品が多いため、素材によっては使用できません。
毛・絹などのデリケートな素材には注意
•毛(ウール)
•絹(シルク)
•革・合成皮革
•水洗いできない衣類
•含金属染料で染めた衣類
•金属製のファスナー・ボタン・ホックなどが付いた衣類
•特殊加工された衣類
また、使用できる素材であっても、濃度・水温・つけ置き時間などが適切でなければ、色落ちや生地への負担につながる可能性があります。
使用前に洗濯表示を確認する
衣類に使用する場合は、まず洗濯表示を確認しましょう。
•衣類の素材
•水洗いできるか
•製品側の使用可能素材
•使用量
•水温
•つけ置き時間などを確認することが大切です。
心配な色柄物などは、あらかじめ目立たない部分で確認してから使用するとよいでしょう。
7. 過炭酸ナトリウムは家庭用排水口に流しても大丈夫なのか
過炭酸ナトリウムを主成分とする酸素系漂白剤には、家庭の排水口やパイプそのものの洗浄・除臭などを用途としている製品があります。
そのため、家庭用として販売されている製品を表示どおりに使用し、使用後に十分な水で流すという使い方であれば、排水口に使用できる場合があります。
水中では主に炭酸ナトリウムと過酸化水素に分かれる
過炭酸ナトリウムは、水に接触すると主に「炭酸ナトリウム」と「過酸化水素」に分かれます。
さらに過酸化水素は分解していきます。
この性質から、過炭酸ナトリウムは衣類だけでなく、排水口などの洗浄用途を表示した家庭用製品にも使用されています。
大量の粉末をそのまま流すのは避ける
排水口へ使用する場合でも、自己判断で大量の過炭酸ナトリウムを投入することは避けましょう。
•製品表示以上の量を使用する
•粉末を大量に投入する
•使用後に十分な水を流さない
•密閉状態で反応させる
•材質を確認せず使用するといった使い方です。
排水口の洗浄に使用する場合は、排水口への使用が認められている製品か確認し、メーカーが指定する使用量・使用方法を守ることが重要です。
また、浄化槽を使用している住宅などでは、製品によって使用上の注意が異なる可能性があるため、製品表示や設備メーカーの案内を確認してください。
過炭酸ナトリウムを使用するときの注意事項
過炭酸ナトリウムや過炭酸ナトリウム配合製品を使用する際は、製品ごとの表示を確認することが基本です。
•用途以外には使用しない
•製品で指定された使用量・水温・時間を守る
•衣類の洗濯表示を確認する
•毛・絹など使用できない素材には使用しない
•金属部品など使用できない材質に注意する
•使用時は製品表示に応じてゴム手袋などを使用する
•粉末や溶液が目に入らないよう注意する
•子どもの手の届かない場所に保管する
•他の洗浄剤などと自己判断で混ぜない
•溶かした液などを密閉容器に入れて保存しない
•使用後は製品表示に従って十分にすすぐ
特に過炭酸ナトリウムは、水分と接触すると反応が進みます。
保管するときは、高温多湿を避け、製品表示に従って適切に保管しましょう。
![]() |
![]() 【Amazon】グリストが取れる |
まとめ
過炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウムと過酸化水素から構成される化合物で、塩素を使用しない酸素系(非塩素系)の漂白成分として、衣類用漂白剤やさまざまな洗浄製品に利用されています。
水に溶けるとアルカリ性を示し、さらに過酸化水素による酸化作用を利用できることから、油脂を含む汚れやシミ、黄ばみなどの洗浄・漂白に使用されます。また、界面活性剤を組み合わせた製品では、それぞれ異なる働きによって油汚れなどを洗浄しやすくしています。
一方、酸素系だからといって、どのような素材にも使用できるわけではありません。毛や絹、金属部品が付いた衣類など、使用に適さないものがあります。また、長時間つけ置きすればするほど洗浄力が高くなるわけでもありません。
衣類や排水口などに使用する際は、「過炭酸ナトリウム」という成分名だけで使用可否を判断せず、実際に使用する製品の用途・使用量・使用方法・注意事項を確認することが大切です。
FAQ|過炭酸ナトリウムについてよくある質問
Q1.過炭酸ナトリウムは塩素系漂白剤ですか?
いいえ。過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤に使用される成分で、塩素系ではありません。一般に「非塩素系」の漂白成分として扱われています。
Q2.過炭酸ナトリウムは色柄物にも使用できますか?
過炭酸ナトリウムを使用した酸素系漂白剤には、色柄物に使用できる製品があります。ただし、衣類の素材や染料などによって使用できない場合があります。衣類の洗濯表示と製品表示の両方を確認してください。
Q3.過炭酸ナトリウムは油汚れに使えますか?
過炭酸ナトリウムは水に溶けるとアルカリ性を示すため、皮脂などを含む油性汚れの洗浄に利用されています。界面活性剤を配合した製品では、油汚れを水中へ取り込みやすくする働きも加わります。ただし、汚れの種類や状態によって洗浄結果は異なります。
Q4.長時間つけ置きすれば頑固な汚れも落ちますか?
つけ置きによって洗浄成分が汚れに働きかける時間を確保できますが、長時間つければつけるほど効果が高くなるわけではありません。色落ちや素材への影響を防ぐためにも、製品で指定された時間を守りましょう。
Q5.過炭酸ナトリウムを排水口へ流しても大丈夫ですか?
過炭酸ナトリウムを使用した家庭用酸素系漂白剤には、排水口の洗浄などを用途としている製品があります。ただし、すべての製品・設備で同じ使い方ができるとは限りません。排水口への使用可否と使用量を製品表示で確認し、使用後は指定された方法で十分に水を流してください。
![]() |
![]() 【Amazon】グリストが取れる |





